天皇の即位式では儀式もすべて、大変な手間暇をかけて準備を行っているが、どんな意味があるのだろう。
―大嘗宮に飾られる、麻と絹がどうやって作られ、織られていくかっていうことが書いた本があるんですけど(「麁服(あらたえ)と繪服(にぎたえ)」)、ひとつひとつの過程が本当に大切にされて作られています。それだけではなくて、大量の調度品や儀式に必要なものがあって、ひとつひとつを調えるのは、それはもう大変な仕事だと思った。
―食事を一つ一つ箸で、神様に供するし、亀卜の亀の甲羅も丁寧に削って作るし、火を熾すのもライターじゃないし。そのひとつひとつを、心を込めて、ものすごく大事にやっているって本当にすごいと思ったんだ。
だから
見せる所作、
見せない所作、
知る所作、
知らない所作、それぞれのつながり。
つながらないことも含めて、ひとつの音を紡ぐように。
音を紡いでいくとやがて大きな音楽になる。
―日本人だし、こういうことに興味のある者としては、そういうものの力が大きくなって、得体の知れない肺炎とかそういうのではない、気持ちの良い世界ができたらいいなと思うよね。
それを選択してください。
われわれは、みんなは、手は離さない。
見てはいる。
―「われわれさん」最近力入ってない?
力は抜いている。
―でも言いたいこと多いよね(笑)。
もどかしい。
―伝えきれてない?
でも、(人間に)干渉しすぎるのはいけないよね。
その人の選択肢を奪ってはいけない。
―だから、そういう風に言ってしまうと、過去(に滅んだ文明)もそうやって、どうするの? どうするの? と見ているうちに、あ~あ、滅びちゃったって…。
そこで何を得て、何を感じて、次にどう生かすのかだけだよ。(2020年1月)
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